データのバックアップ

バックアップは重要です

ある日突然、思い出の画像や、時間をかけて作ったファイルがなくなることを想像してみてください。企業なら貴重な財産や信用を失い、窮地に陥る場合もあるでしょう。
面倒がらずに、バックアップは必ずおこないましょう

データのバックアップ

備えあれば、憂いなし

バックアップとは、パソコンのデータが消えてしまった場合に備えて、外付けのハードディスク(以下HDD)やCD-Rなどの記憶媒体にデータを複製することです。一つが消えても残ったデータを使えるようにしておきます。また、企業などがコンピューターシステムの故障時に備え、代わりに働くシステムを用意しておくこともバックアップです。
「データが消えるなんてめったにないこと」などと高を括って、バックアップを後回しにしていませんか?「さっきまで普通に使っていたのに、突如HDDが読み込み不可能に・・・」なんてことはよくある話。HDD上のデータは、さまざまな原因による消失の危険と常に隣り合わせです。「いつ壊れるともかぎらない」ぐらいに考えておくべきなのです。

データ消失の原因

  • 人為的ミス・・・間違って削除してしまった、フォーマットしてしまった、など。
  • ハードウェア障害・・・寿命による故障、熱や傷などによる故障など。
  • ソフトウェア障害・・・OSの不調など。
  • 災害・・・地震、火災、洪水、雷など 。
  • 犯罪・・・コンピュータウィルス、サイバーテロ、盗難など。
  • その他・・・戦争、テロリズムなど。

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バックアップ計画《何を、どこへ、いつ、どのように》

すべてのデータにバックアップは必要です。とはいえ、個人の所有か会社の所有か、データの種類や大きさ(容量)、重要性など、データの状況はさまざま。それぞれのデータに合わせ、予算や手間・所要時間なども考慮した上で、ベストなバックアップ方法を選ばなければなりません。
バックアップにあたっては、まず「何を(バックアップの対象)」「どこへ(バックアップ先)」「いつ(スケジュール)」「どのように(バックアップ方法)」を決めます。また「どのようにデータを守るのか」を念頭に、データが破損・消失したときの復旧作業にかかる手間や時間のことまで考えて検討することがポイントです。これによって、必要な機器やメディア(記憶媒体)、ソフト、サービスなどの準備を整えることができます。

バックアップの対象

ファイルやフォルダのみ(すべてまたは必要なものを選んで)バックアップするのか、OSやアプリケーションごとバックアップするのかを決めます。OS丸ごとのバックアップを「イメージバックアップ」といいます。
イメージバックアップなら、HDDの故障によるデータ消失だけでなく、OSが不安定になったときも簡単にもとの状態に復旧できます。ただし、市販ソフトが必要だったり、圧縮しないとバックアップのサイズが大きくなってしまうので、手軽さを最優先するならファイルのみに絞ってもよいでしょう。 イメージバックアップと、重要なファイルを別にバックアップすることの両方をやっておけば、より安心といえます。

バックアップ先

外付けHDD、DVD-R、CD-R、フラッシュメモリー、NAS(LAN接続HDD)等、どのメディアにバックアップするか決めます。インターネットを介してバックアップができる、オンラインストレージサービスを利用する方法もあります。重要なのは、バックアップ元とバックアップ先が別の場所であるということです。
日常的なバックアップには「書き換えが可能、速度が速い、容量が大きい、価格が安い」と条件の揃った外付けHDDがおすすめです。普段内蔵HDDに保存しているデータまたはOSを含めた丸ごとのバックアップを、外付けのHDDに保存します。
注意が必要なのは、普段のデータ保存を外付けHDDやNASにおこなっている(外付けHDDやNASにデータを移動している)ケース。もう1台別のHDDに保存しないとバックアップとはいえません。
いずれにしても、データ消失のいろいろなケースを想定すると、これなら絶対完全というバックアップ先はありません。データの重要度によっては、例えば1次バックアップとして外付けHDDを使い、2次バックアップにDVDや磁気テープ等のメディアを使うなど、いくつかの方法を組み合わせた2重3重のバックアップをおこなう必要があります。
また、永久保存が可能なメディアというものも存在しません。10年単位の長期保存を考えると、読み出す手段(ドライブやソフト)の確保も懸念されます。
「外部記録メディアにとってあるから安心」ではなく、保管データの信頼性をチェックすることが大切です。大事なデータは、複数のバックアップをとること。さらに何年か経ったらまた保存し直したり、保存方法を見直したりしましょう。

バックアップメディアの種類と特長

フロッピーディスク
(容量:1.44MBの2HDタイプが主流)
容量が小さいため、現在ではファイル単位でのバックアップにしか使われなくなっている現行の多くのパソコンではドライブが標準搭載されていない。磁気や埃、汚れに弱い。
大容量磁気ディスク
(容量:Zip…100MBまたは250MB、Jaz…1GBまたは2GB)
100MB以上の容量を持つ大容量リムーバブルメディア。ZipやJazなど。書き込み速度が速いのが特長だが、現在では容量や経済性に勝る光ディスクに取って代わられている。日本国内ではもともと、あまり普及していない。磁気や埃、汚れに弱い。
磁気テープ
(容量:12GB〜200GB)
磁性体を塗ったテープにデータを記録する外部記憶装置の一種。サーバーや汎用機のバックアップに伝統的に使用されている。容量が大きく、システム全体のバックアップに向く。メンテナンスが面倒なことや、記録装置が非常に高価であるため個人向きではない。
光ディスク
(容量:数百メガバイトから数十ギガバイト)
CD・DVD規格のディスクが現在よく使われている。安価で容量が大きい。一度だけ書き込みができて消去ができないライトワンスと、書き換え可能なリライタブルの2種類がある。熱や湿気、紫外線に弱い。 光ディスクの中では、DVD-RAMが2.6〜9.4GBと大容量を誇る。読み・書き・消去がいずれも可能、書き込みに特別なソフトがいらないなど利点が多いものの、DVD-ROMドライブと完全な互換性がないことなどから予想されたほど普及していない。また、次世代DVD規格争いに勝利したブルーレイディスク(BD)が、バックアップ用としても今後期待されるところだが、対応ドライブの普及とディスクの低価格化が課題となっている。
フラッシュメモリー
(容量:数メガバイトから数十ギガバイト)
小型で持ち運びに便利、衝撃にも強い。低価格・大容量化が進んでいる。USB接続タイプが主流。データのやり取りに便利だが、長期のバックアップ用には適さない。
光磁気ディスク(MO)
(容量:128MB、230MB、540MB、640MB、1.3GB、2.3GBなど)
光磁気記録方式を採用した記録メディア。書き込み時には消去処理が必要なためやや遅いが、読み出しは比較的高速である。以前日本では普及していたが、光ディスク、フラッシュメモリーに取って代わられているのが現状。優れた信頼性・長期保管性から現在でも使用されることがある。
HDDドライブ
(容量:数十ギガバイトから数テラバイト)
厳密には記録メディアではなく、メディアと一体化した記録ユニットである。内部にはプラッタと呼ばれる円盤の層(2〜10枚程度)が形成され、その両面が記録面となっている。手軽さや大容量HDDの低価格化が進んでいることなどから、バックアップ先として広く利用されている。一方、衝撃に弱く、他のパーツやメディアと比べても故障・破損の率が高いとみられている。またHDDには寿命があり、長いか短いかは使用環境や稼働時間に左右される。

バックアップのスケジュール

いつバックアップするかを決めます。毎日、毎週、毎月など、パソコンの使用頻度を考えて検討します。自動実行の機能があるバックアップソフトを使用すれば、最初に一度だけ設定を済ませて、あとはソフト任せにすることができます。
また、企業のサーバーでは、毎日、社内アプリケーションが稼働していない時間(夜中など)をバックアップの時間に当てるのが一般的なスケジュールの組み方です。

バックアップの方法

利用するバックアップツールやバックアップ方式を決めます。

バックアップツール(ソフトやサービス)を選ぶ

手動でコピーする(バックアップツールを使用しない)

単純にファイルやフォルダをコピーする、これもバックアップの一つです。扱うデータ量も使用頻度も少なく最新のデータだけ残しておけばいいという場合は、ファイル編集作業の区切りにまめにバックアップ先にコピーしていれば特に問題はありません。ただ、忘れたり後回しになったりするかもしれません。

Windows標準の機能を使う

Windows XPのバックアップユーティリティー(※1)は、インターフェースや用語が初心者にはわかりづらく設定も煩雑なため、あまり評判がよくありませんでした。
Windows Vistaには、機能性を向上させた3つのバックアップツールが搭載されました。ファイル単位のバックアップと復元をおこなう「ファイルのバックアップ/復元」、HDDを丸ごとバックアップ・復元する「CompletePCバックアップ」、システムが自動バックアップする中からフォルダーやファイルを復元する「シャドウコピー」です(※2)。
Windows 7では、コントロールパネルの「バックアップと復元」→「システム イメージの作成」から、イメージバックアップをおこなえるようになりました。
以降、Windows 8ではコントロールパネルの「Windows 7 のファイルの回復」→「システム イメージの作成」、Windows 8.1では「ファイル履歴」→「システム イメージ バックアップ」(※3)、Windows 10では「バックアップと復元(Windows 7)」→「システム イメージの作成」のように場所や項目名が変わりましたが、イメージバックアップの機能は提供され続けています。
入門編として、Windows標準の機能を使ってイメージバックアップの練習をしてみるのもいいかもしれません。

※1「Professional」には標準で搭載され、「Home Edition」では、別途インストールDVDから導入作業が必要です。
※2「Home Basic」「Home Premium」では使えない機能や一部機能を制限されるものがあります。
※3 Windows 8.1 では、標準ではスケジュール設定が使用できません。

フリーのバックアップソフトを使う

指定したファイルやフォルダをコピーするだけなら、無料のソフトでも自動バックアップができます。
『BunBackup』は、パソコン雑誌やインターネット上でよく紹介されている人気フリーソフトです。データが入ったフォルダーとバックアップ先(外付けHDDのフォルダー)を指定し、バックアップのタイミングを設定すれば、ソフトが定期的に自動コピーしてくれます。メールやお気に入り、アドレス帳などのバックアップもできます。さらには、世代管理やミラーリング、暗号化といった高度な機能も備えています。

市販のバックアップソフトを使う

「手間なく簡単に、制限がなく、いろいろな機能がある」ものがお望みなら、市販のソフトを使いましょう。またイメージバックアップをおこなう場合は、使い勝手やいざという時のサポートなどを考慮すると、優れた市販のソフトを選んだ方が賢明です。

バックアップ機能搭載の外付け型HDDを使う

バックアップ先に外付けHDDを考えているなら、バックアップ機能を搭載した外付け型HDDを購入する手もあります。付属のバックアップソフトと連携し、簡単な操作でパソコン内蔵HDD内の指定したデータをコピーします。システム全体のバックアップも手軽におこなえます。
おすすめは、2.5インチの外付けHDDです。2.5インチはもともとノートパソコン用の主流HDD(※1)で、書き込み速度が速い、衝撃や振動に強い(※2)、消費電力が少ない、といった特長があります。また大容量・低価格化が進んでおり、コストパフォーマンスが向上しています。規格はSCSI、IEEE1394、USBなどがあり、いずれも専用ケーブルでパソコンとHDDとを接続する形になります。
近年、SAS(Serial Attached SCSI)やSATA(Serial ATA)規格の大容量2.5インチ型が各メーカーから続々発売されています。これらはサーバー向けに高性能・省スペース型に進化しており、環境問題に配慮して消費電力を抑える傾向にあるデータセンターなどで多く用いられています。

※1 これに対し、デスクトップパソコンやサーバー、ワークステーション用の主流となっているのが3.5インチHDDです。
※2 2.5インチHDDは、データを書き込むヘッド部分が未使用時にはプラッタと離れた位置に移動するため、傷が付きにくくなっています。

オンラインストレージサービスを利用する

インターネット上に用意されたサーバーにデータを保管するサービスです。利用できる容量は、数MBから1TB程度までさまざま。1GB〜15GBのサービスが主流です。
オンラインサービスの最大の特長は、ネットに接続できる環境さえあればどこからでも参照できるという点です。また「導入・操作が簡単」「自宅外・社外のデータ保管場所を手軽に確保できる」「自然災害時にも遠隔地で安全に保管ができる」などの利点もあります。
オンラインストレージサービスには無料サービスが多数ありますが、保管できる容量が少ないなど機能は限定されています。無料サービスに有料で容量や機能を追加するサービスもあり、概していえば、大容量・高機能なら有料ということになります。
ただ、本来はメールで送ることができないような大きなファイルを、他の人々に転送し共有するサービスです。数MB程度の容量では、HDDの中身を丸ごとバックアップするといった用途では使えません。
特に企業がバックアップ用途で利用するには、大容量であることはもちろん、ファイルの暗号化やアクセスの制限など機密性・保全性を確保したサービスでなければなりません。こうしたバックアップを主目的にしたオンラインストレージサービスであれば、大切なデータの保管先としても使えるでしょう。

無料サービス

企業向けサービス

バックアップ方式を選ぶ

フルバックアップ

フルバックアップ

すべてのファイルやフォルダをバックアップします。
データを上書きしないので、回数分すべてのバックアップファイルが残ります。このため復元するときには簡単な操作で短時間にできます。
ただし、バックアップに時間がかかり、ディスク領域の消費が大きいのが欠点です。バックアップ先の容量にもよりますが、一般的にバックアップするデータサイズが小さい場合に適しています。

増分バックアップ

増分バックアップ

初回にフルバックアップをとり、以降は前回バックアップ後に変更されたファイルだけをバックアップします。バックアップ時間が短く、バックアップをとったどの時点のデータへも復元できる点がメリットです。過去の変更履歴も残せます。
デメリットは、ある時点の状態に復元しようとした場合、最も新しいフルバックアップとそれ以降の増分バックアップをすべてとっておき、正しい順序で復元していかなければならないことです。つまり、復元に時間がかかります。バックアップファイルの数もどんどん増えてしまいます。このため、定期的にフルバックアップを取り直し、古いバックアップファイルは削除していったほうがよいでしょう。たとえば、週末にだけフルバックアップを実施し、平日は前日との増分をバックアップする、といった運用をおこないます。

差分バックアップ

差分バックアップ

初回にフルバックアップをとり、以降初回のフルバックアップ後に変更されたファイルだけをバックアップしていく方法です。増分バックアップが前回のバックアップを変更の基準とするのに対し、差分バックアップはフルバックアップを変更の基準とする、という違いがあります。
バックアップの時間やファイルサイズは増分バックアップより大きくなりますが、フルバックアップファイルと最後にとった差分バックアップファイルの2つがあれば復元できる、という点が長所です。
たとえば、週末にだけフルバックアップを取り、平日は前回のフル・バックアップとの差分をバックアップする、といった運用をおこないます。

ミラーリング

ミラーリングとは、データの複製を別の場所にリアルタイムに保存することです。通常、2台以上のHDDに同時に同じデータを書き込むことをいいます。 ミラーリングはまた、HDDの高速化や信頼性を向上させる「RAID(レイド)」の1種(RAID1)として規定されています。普段どおりにデータを保存するだけでサブのHDDにも保存され、1台故障しても故障したHDDを取り替えればデータを失わずにミラーリングも維持できる、という仕組みです。データ消失直前の最新の状態を保てるというわけです。
企業のサーバーなどで使われることが多く、環境を作るのに手間やコストがかかりますが、ミラーリング機能のあるソフトや外付けHDDなどにより、最近では一般ユーザーでも比較的容易に利用できるようになっています。
ただし、ミラーリングはディスクのトラブルによるデータ消失のリスクは回避できますが、OSやアプリケーションの不調または操作ミスによるデータ消去・上書きには対応できません。こうしたトラブルを避けるには、データを別途バックアップしておくことが必要です。
ミラーリングはバックアップソフトの機能にも組み込まれていることが多く、「ミラーリングしているからデータの保護は大丈夫」といった誤解を生みやすいようです。ミラーリングとはあくまでも“データをHDDの障害からのみ保護する技術”と心得ておくべきです。

RAIDのトラブル

世代管理

世代管理

たとえば毎日フルバックアップしている場合、今日更新した分は「最新のバックアップファイル」として昨日の分とは別に保存します。これを繰り返すと昨日の分は「ひとつ前のバックアップファイル(世代1)」、一昨日の分は「二つ前のバックアップファイル(世代2)」・・・と過去のバックアップファイルが累積していきます。このように何世代か数を決めてバックアップすることを“世代管理”といいます。
管理する世代の数を設定することは、データを復元するときに戻ることができるポイントを決めることになります。したがって、フルバックアップと増分バックアップ、または差分バックアップを組み合わせたバックアップをおこなう場合の世代管理は、フルバックアップを何世代とるか設定します。
世代管理をしていると、たとえばデータを誤って書き換えてしまったときにはひとつ前のバックアップから復元できます。また、ウィルス感染に気づかず数日経ってしまった場合でも、感染以前の世代まで管理していれば復元が可能です。
バックアップソフトやオンラインストレージサービスの多くは世代管理の機能を備えています。運用方法はソフトやサービスごとに異なりますが、保存のポイントや管理する世代数を設定し、設定した管理数を超えた場合は古い世代分から消滅していく・・・というのが一般的です。
できるだけ古いデータまでとっておけば安心なのですが、バックアップ先の容量にも限りがあるため、バランスを考えて設定しなければなりません。因みに企業のサーバーのバックアップなどでは、3世代保持するのが運用管理の常識であるといわれています。